任意整理をすると過払い金が返ってくる?
任意整理はかつてからあった債務整理の方法でしたが、かつての方法と少々異なる点となっているのが「過払い金」の存在です。
過払い金とは過去に貸金業者が消費者に対して融資をする際、法律で認められていなかった金利を用いて利息を計算していたことによって生まれた「払いすぎた利息」のことであり、法律上この払いすぎた部分は民法の「不当利得の返還」に基づいて返還することが義務付けられています。
任意整理の際には引き直し計算をして過去から現在までの返済状況をチェックし直し、金利が適正ではない部分があったのであれば計算し直すことによって残債を求めることになりますから、過払い金を返してもらうことが出来るわけです。
ただし「任意整理をすれば過払い金が絶対に返ってくる」というわけではないということは知っておく必要があります。
まず当然のことですが「払いすぎた利息が無い」というケースに該当する場合、任意整理を行って得られる効果は今後の利息のカットなどの限られた部分のみです。
あくまでもこれは貸金業法などの法律が改正される以前のグレーゾーン金利に基づいて返済が要求されていた場合においてのみ発生するものです。
最初から法律上の問題がない金利に基づいて請求されていたのであれば当然発生するものではありませんし、法改正が行われた平成22年6月以降になってから借金をするようになったというようであれば、発生している可能性はかなり低いと言えます。
ですから「任意整理をすれば絶対にお金を返してもらえる」というのは間違った理解ですから、ここは注意が必要です。
またもう一つ問題となるのが「貸金業者の中には過払い金の返還に応じない業者がいる」ということです。
最初の方で述べたようにこのお金は不当利得の返還に基づいて返還しなくてはならないと義務付けられています。
これは裁判によって既に明らかになっていることですから疑いようのない事実なのですが、大手とされるような貸金業者であっても「返還には応じない」という姿勢を取っているところがあります。
その代わりに和解案としていくらかのお金を渡す用意があるという提案をしてくるのですが、この和解金として支払われるお金は自分がこれまで払いすぎた金額と比べるとかなり少額になります。
この背景には貸金業法の改正によって貸しつけられる金額が減り、かつ払いすぎた利息を返還してほしいという申し出が殺到したことによる貸金業者の業績悪化があるのですが、和解案を受け入れないとすると裁判になる可能性が高いです。
裁判に持ち込めば間違いなく債務者が勝てるのですが、こうしたケースもあるのだということは事前に知っておいてください。